2009年11月23日

混合診療と政治

先週、毎月恒例の矢山クリニック部門長会議にて
ある新聞記事が話題になりました。

それは、日本経済新聞平成21年10月26日(月)の19面
『経済教室』のコーナー。

著者は中央大学教授、阿部泰隆氏。
阿部教授は東京大学卒の法学博士
専門は行政法とのことで、
新聞記事には氏の顔写真も掲載されているのですが、
矢山利彦院長は・・・

『記事といい、阿部教授のお顔といい、
 意志がお強い、一本筋の通った、実に素晴らしい人物だ・・・!!』


・・・と大絶賛されておられました。

タイトルは・・・

『混合診療こそ政治主導で
 官の「詭弁」見直す好機
 司法の失敗を放置するな』


記事を読ませていただくと、
阿部教授の記事は、まさに・・・

『なるものはなる。
 ならぬものはならぬ。』


・・・という、正論中の正論

そのポイントは・・・
『難病と闘う患者が、
 まだ保険適用のない先進的な治療を併用した場合、
 保険外の治療費だけを自己負担すればすむのが
 常識的な解釈であろうに、
 保険の使える治療まで全部自己負担せよという
 厚労省や司法の主張はおかしい』


『本当の金持ちなら、
 最初から全額自費で、あるいは外国で
 最高の治療を受けることができる。
 混合診療こそ、そうした余裕のない庶民に
 高度な医療を受ける道が開ける』


・・・まったくの正論だと思います。

『保険の給付は、憲法上の財産権そのもの。
 その財産権を奪うには、よほどの合理的な根拠が必要。
 東京高裁の主張は詭弁』


・・・『混合診療禁止』には
ご指摘の如く実は合理的な根拠がなく、
『詭弁』と評されても仕方がないでしょう・・・。

『民主国家・法治国家では法律の趣旨は
 国会で承認されなければならない。
 行政官が後からねつ造した法の趣旨を認めるのは、
 法治国家における法解釈とはいえない』


『厚労官僚は、内閣法制局や国会、大臣らをいわばだまし、
 司法のチェックも免れている』


・・・厚生労働大臣長妻昭氏を
暗に批判されておられるようにも感じられます。
長妻氏にはこの問題にも真剣に取り組んでいただきたいと
私も思います。

『混合診療こそが国民の健康と福祉の水準を向上させる切り札』

・・・保険診療こそが最も安心で安全で確実な診療であるとは限りません。
それは、現場の我々が一番よく知っていることであります。

『混合診療禁止は、最新の医療技術への関心が薄く、
 現状の保険診療のみに依存したい医師には都合が良い。』


『混合診療禁止は、
 厚労省は保険適用に関する審査の裁量権や
 公定価格決定権限を温存しやすい。』


『不自然な制度の真の受益者は誰か、直視する必要がある』

・・・これはかなり手厳しい意見です。
大きい声では申せませんが、その通りだと思います。

『命を救うべき厚労省は
 保険外だけ私費で治療を受けたい患者の悲痛な叫びを
 冷酷に切り捨てている』


・・・最大の論点はここにあると感じます。
医療は、まず患者さんのためにあるべきです。
医療に携わる者にとって一番大切なものは
『慈愛の心』
『慈愛の心』なき医療行為など、
医療とは言えないのではないでしょうか・・・?

阿部教授が仰るように、
民主党政権による政治主導にて、
真に患者さん方のためになる
新しい医療の形が出来上がっていくことを、心より願ってやみません・・・。



Posted by ゲゲゲのしげ爺 at 19:00│Comments(6)
この記事へのコメント
「慈愛のこころ」

やはり、それが一番にきてしかるべきでしょうね。

私のブログにも色々書いておりますが、この度の診療報酬や高齢者対策については、疑問点が多すぎます。
とある、DrのSNS炎上しかけですしww

役人、政治家、それぞれの利権がからむ世の中。
このさき、医療は、政治、官僚の主導の元に行われるので、
われわれ現場の声はほとんど届かない気すらします。

その中で、
われわれ医療者は、「慈愛のこころ」を各人が持っているということが採点源必要ですよね。

例えば、私の例を挙げると、なかなかラポール、信頼関係が、薄い患者さんがいるのも確かです。治療をいきなり中断したり、敵意をむき出しにしてきたり。
若い頃は、治療者も動揺することもありましたが、精神分析で、BPDの方と長く付き合ったり、自分の気をぶれないところに持っていく事が必要と感じました。

どんなにヘビーな話を聞かされ続けても、敵意を投げかけられても、最近は、「仏のごん爺」でいられます。

それは、悟りに至るまでの私の修練ですし、また、最近は、気のチューニングがうまくいっており、未熟ですが、全くぶれない、治療スタイルを身につけることが出来てきた様に思います。

ここは、また、時間があれば、私のブログにまったり掲載してみたいと思います。

あ、ちなみに、しげたん、私のブログをリンク追加していただき、大変ありがとうございます。
Posted by ごん爺 at 2009年11月23日 22:29
ごん爺殿、お久しゅうございます。

「仏のごん爺」ですか・・・。
それは凄い・・・!!

儂も、「仏のしげ爺」を目指したいと思います。

(当分の間、「ゴルゴしげ爺」だとは思いますが・・・)
Posted by ゲゲゲのしげたんゲゲゲのしげたん at 2009年11月24日 21:47
しげたん先生 おはようございます(^^)

「慈愛の心」・・・本当にそうですね。。。
先生が書かれている「抽象度を上げよう」、、思いました。

法のなかで、最も抽象度が高いと思われる「日本国憲法」。
そのなかの、第25条・・・「すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」
と、謳っているいるのにぃ。。。
全ての生きとし生ける国民の生存を守っていこうという、「愛の光」が、途中で、屈折したり、遮断されたりして、真っ直ぐに国民に届かない現状。。。(涙)

「生命より大事なものがありますか?」・・・政治家や官僚のみなさんにお聞きしたいです。(プンプン)

生命の最前線に、しげ爺(?笑)先生やごん爺先生のような素敵な、慈愛の心をもったお医者様がいてくださって、とても心強いです。
いつもありがとうございます☆   (^^)
Posted by しいちゃん at 2009年11月25日 07:31
ごめん、しげたん。
ゴルゴで飲んでいたビール吹いたよ、、、ww
Posted by ごん爺 at 2009年11月25日 19:57
しいちゃんさん、こんばんは。

確かに
政治家や官僚の中には
抽象度が高いとは言えない方がいらっしゃいますね・・・。

悲しいことです。
Posted by ゲゲゲのしげたんゲゲゲのしげたん at 2009年11月26日 20:17
ごん爺殿、

儂は今夜もビールを飲んで
新型インフルエンザ予防をしたいと思う。

ビールでインフルエンザの予防ができるとは
嬉しい限りじゃ。

しげ爺
Posted by ゲゲゲのしげたんゲゲゲのしげたん at 2009年11月26日 20:22
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