2010年01月29日

指導・監査と保険医の権利

昨日、佐賀県保険医協会主催の管理者研修会・・・

『指導・監査と保険医の権利
 ~弁護士帯同の実例から考える『指導・監査』~』


・・・が開催され、私も参加しました。

講師の先生は、山本哲朗氏。

山本氏は・・・

『弁護士法人奔流宗像オフィス』所長、
日弁連行政訴訟センター委員会委員、
行政事件弁護士ネットワーク事務局長

・・・などを務められている弁護士で、
福岡指導・監査帯同弁護団事務局長もなさっています。

山本氏は・・・

『指導・監査が
 低医療費政策実現の手段と位置付けられるようになって以来、
 高点数を狙い撃ちにした恣意的な対象医療機関の選定、
 現場の実情を無視した恫喝的な指導・監査が日常化するようになり、
 誰もが相応な負担で安心して必要な医療を受ける権利を保障した
 国民健康保険法の理念が大きく揺らいでいます。
 指導・監査の現状や問題点についての理解を享有するとともに、
 指導・監査紋意の克服に向けた充実した意見交換が出来ればよいと
 考えています。』


・・・ということで、
行き過ぎた指導・監査問題の改善に取り組んでおられる
日々の活動に関しての御講演をされました。

保険医療機関に対する『指導』『監査』とは、
一般的には・・・

『診療の内容や診療報酬の請求に冠する指導について
 基本的事項を定めることにより、
 保険診療の質的向上及び適正化を図ることを目的とする』

・・・というもので、都道府県厚生労働省が行うものですが、
それは実は建前的なものであって、
実際は医療費を削減するために
利益を上げているような医療機関を
事あらば見せしめに潰してしまおうというような、
医療機関にとっては『最大の恐怖のイベント』として、
非常に恐れられているのが実情のようです。

当然、不正な医療行為で不当な利益を得ているような
悪徳医療機関はどんどん指導、監査を行ってもらって構わないのですが、
そうではない真っ当で良心的な医療機関が、
行き過ぎた行政処分を受けているという現状があります。

行政側は、行政指導の名のもとに、
医療機関に対して
必要以上に行政権力を恣意的に行使、
場合によっては裁量権を大きく逸脱し、
医療機関に対して圧力をかけてくるようです。

『医者を続けられんようにしてやる』

『診療費を自主返還しないと、監査するぞ』

『近いうちにまた監査してやる』

『何度でも監査するぞ』

『保険診療できなくしてやる』

『お前が高い薬を使うから、保険財政が破綻寸前なんだ』

『処罰されますよ』

『全てを失うぞ』


・・・これらは、実際に指導・監査の現場でお役人の方々が
医療機関に対して吐いた暴言の数々です。

広く知られた事ではありませんが、
このような行き過ぎた行政の圧力により
自殺に追い込まれたり、
精神や身体を病んだり、
廃業に追い込まれたりしている医師が、
予想以上に多いというのが現状であります。

実は・・・
こういったことを我々も実際に体験しています。

このような理不尽な権力の圧力より
医療機関を守ろうという動きが、
次第に活発になってきていることに、
私は希望を持ちました。

政権が自民党から民主党にチェンジしたのをきっかけに、
医療の世界も『官僚主導』から『政治主導』に転換し、
『指導』や『監査』が本来の
『診療の質的向上及び適正化を図ることを目的とする』ものに
なっていくことを切に願ってやみません・・・。



Posted by ゲゲゲのしげ爺 at 20:35│Comments(4)
この記事へのコメント
 現在までの民主党の様子を見る限り、場当たり
的な発言や運営等から政権担当や政策立案の能力、
重田様が期待される政治主導は疑問符がつくよう
に感じます…
Posted by お疲れさまです at 2010年01月30日 04:20
お疲れさまですさん、こんばんは。

仰る通り、残念ながら
政権政党には失望させれる点が多々ありますね・・・。

しかし、まだ期待はしています。
諦めてしまったら、それで終わりですから・・・。
Posted by ゲゲゲのしげたんゲゲゲのしげたん at 2010年01月30日 18:51
 今後のことは分かりませんが少しでもましな
方向に向かうと良いですね。

 重田さま、ご家族様、職場の皆様がたお身体
お大事に。
Posted by 返信ありがとうございます at 2010年01月31日 02:15
どなたかは存じませぬが、
心からのお気遣い、ありがとうございます。

我々の明日への励みとさせていただきます。
Posted by ゲゲゲのしげたんゲゲゲのしげたん at 2010年02月01日 19:54
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