2012年03月01日

ブルー・ドラゴン

本日はグレゴリオ暦では3月1日ですが、
自然暦では2月(如月)9日。

今夜の月は上弦の月であります。

さて、
しげた総合診療クリニックも開業して早2ヶ月を過ぎ、
ついに3ヶ月目に突入。

開院当初に多かったインフルエンザの患者さんも
徐々に減り始め、
今度は花粉症の患者さんが徐々に増え始めている今日この頃です。

さて、今回は漢方薬の話題です。

花粉症の漢方薬で最もポピュラーなのは・・・・・

『小青竜湯』。

● 麻黄(まおう)
● 桂皮(けいひ)
● 芍薬(しゃくやく)
● 半夏(はんげ)
● 五味子(ごみし)
● 細辛(さいしん)
● 乾姜(かんきょう)
● 甘草(かんぞう)

・・・・・の8つの生薬から構成される漢方薬です。

『青竜』は、
中国神話に登場する『四神』のうち、
東方を守護する神獣。

小青竜湯の主薬である・・・・・

『麻黄』

・・・・・が青い色であること。
そしてこの薬が体内の水分代謝をコントロールする作用があることから
水を司る竜に例えられ、
この名が付けられたようです。

陰陽五行で言うと・・・・・

『春』

・・・・・という季節は『青』であるとされています。
(故に『青春』)

春に流行する花粉症の薬として、
陰陽五行の観点からも小青竜湯は相応しいと言えます。

ところで、
小青竜湯よりも強力に体内の水分をさばく方剤が・・・・・
『大青竜湯』。

『小』より強い青竜湯なので、『大』青竜湯というわけです。

● 麻黄(まおう)
● 桂枝(けいし)
● 炙甘草(しゃかんぞう)
● 杏仁(きょうにん)
● 生姜(しょうきょう)
● 大棗(たいそう)
● 石膏(せっこう)

・・・・・の7つの生薬から構成される方剤で、
実は・・・・・

『麻黄湯』

・・・・・よりも麻黄の量が多く、
発汗力は実に猛烈。

ひょっとしたら・・・・・

『青龍召喚』よりも・・・・・

『魔王(麻黄)召喚』

・・・・・の方が相応しいかもしれません。

しかしこの『大青竜湯』、
実はエキス剤がありません。

仕方がないので、
臨床の現場では・・・・・・

『麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)』と
『桂枝湯(けいしとう)』を合方したり、
『麻黄湯』と
『越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)』を合方し、
『大青竜湯』に見立てて処方するようにしています・・・・・。




Posted by ゲゲゲのしげ爺 at 19:39│Comments(4)
この記事へのコメント
先生、先日は大変お世話になりました。

不勉強で大変失礼ながら、
『麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)』と『五虎湯(ごことう)』
使い分けはどう解釈したらいいのでしょうか。

以前、某社さんに伺っても「桑白皮」成分の含有だけで基本的に類似、
で終わってしまいまして。
保険適応は『五虎湯』は単に「せき」があるので使いやすいという
ご意見もありましたが。
Posted by Tsuyoshi at 2012年03月02日 13:56
Tsuyoshiさん、こんばんは。

諸説あると思いますが、
簡単に申しますと
私は・・・・・

病状が中等症と判断した場合は麻杏甘石湯、
重度と判断した場合は五虎湯

・・・・・と使い分けるようにしております。

桑白皮が加わった分、
作用が強くなリますゆえ・・・・・。

その効果、まさにファイブ・タイガーです。
Posted by ゲゲゲのしげ爺ゲゲゲのしげ爺 at 2012年03月02日 19:00
先生、こんばんは。
非常にクリアなご回答に感謝申し上げます。
毎冬、咳に悩む風邪をひいていたのですが、すっきりした気分です。
今冬はのりきりそうですが、今後は診察室でご相談致したく、よろしくお願い申し上げます。

余談ですが、娘が卒業生お別れ挨拶の練習をしています。
上の姫君へのメッセージは、3年生がお別れの言葉担当のようですが、
感慨深いです。
Posted by Tsuyoshi at 2012年03月05日 21:35
Tsuyoshさん、おはようございます。

もうすぐ卒業式ですね。
実に感慨深いです・・・・・。
Posted by ゲゲゲのしげ爺ゲゲゲのしげ爺 at 2012年03月11日 12:23
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