2009年02月02日

臨床研修制度

医師不足が問題となり、
さらに地域医療崩壊深刻化しています。

原因の1つは、
平成16年に開始された
臨床研修制度にあるということが指摘されています。

この制度によって、
大学を卒業し、
医師免許を取得した新人医師は、
将来進みたい希望の診療科があったとしても、
2年間基礎的な複数の科研修を行わなくてはならないよう、
義務付けられました。

それまで『努力義務』であった新人医師の研修が、
『必修』になったのです。

臨床研修が義務付けられるまで、
通常の場合、
医師免許を取得した新人医師は、
自主的出身大学に残り、
専門の診療科入局し、
その医局仕組みの中で
『研修医』としてトレーニングを受けるようになっていました。

しかし、新人医師は、
最初から専門の診療科のシステムに組み込まれてしまうため、
研修内容がその専門領域に偏ってしまうのが欠点でした。

実際、私が医学生時代・・・

〇〇科にて実習中、
受け持ち患者さんの胸部レントゲン写真読影を教えていただこうと
担当のDr.に聞いたところ、

「僕は〇〇科の医者だから、
 呼吸器のことはよく分からん。
 呼吸器のことは呼吸器の先生に聞いて・・・。」


と言われましたことがありました。
それを聞いた私は・・・

『俺はこんな半端な医者にはなりたくないな・・・。』face07

なんて、生意気なのですが、
いつもの反骨精神face09icon08がムクムクと頭をもたげてきて、
総合的に、全人的に患者さんを診ることができるような
『総合医』になりたいと考え、
日本の医学部で初めて設立されていた
総合診療部に入局したのでした・・・。

(当時、漢方薬O-リング・テストを用いて診療を行われている
 先輩医師がいらっしゃったことも、
 大きな理由の一つだったのですが・・・。)

新人医師が、
専門の診療科の知識しか知らないような、
いわゆる『専門バカ』ではなく、
皆が総合的な、全人的な医師となれるよう、
新しい臨床研修制度がスタートし、
5年が経過したわけですが、
その結果は当初の理想とはかけ離れたものとなってしまったのです・・・。

新人医師は、
研修先も自由に選択できるようになったため、
研修内容が充実し、条件の良い
大都市の一部の一般病院集中してしまいました。

そのため、大学病院人手不足となり、
地域の病院に派遣する医師も不足してしまい、
現在のような
地域医療の崩壊状態を招いてしまいました。

そして、最近の新人医師は、
2年間ローテーションで様々な科を体験してしまうため、
どうしても、
忙しい科、大変な科、キツイ科、危険が伴う科
敬遠しがちになり、

(こういう科こそが、
 本当は医師として真にやりがいのある科なのですが・・・。)


人さまのにあまり関わらないような、
楽で、安全で、給料の高い科
医師が流れ、診療科の偏在化を招いてしまったようです。

では、どうすれば良いのか・・・?
賛否両論はあると思いますが、
医師不足解消地域医療回復のためには、
まず医師を増やすこと、
そして、大変な科の医師ほど報われるような
システム
を作ることではないかな・・・
と私は考えます・・・。



Posted by ゲゲゲのしげ爺 at 19:00│Comments(2)
この記事へのコメント
今晩は。

専門的なことは全くわかりませんが、患者側から感じることは、今の義務的な意識疎通が少ない医大病院に少なからず不安を感じています。
患者が安心して手術に臨めるように、丁寧に説明してくださるお医者さんにあたりたいなあと切に望みますね。
Posted by 心にっこり at 2009年02月02日 19:51
心にっこり さん、こんにちは。

インフォームド・コンセント(説明と同意)という言葉が
一応はありますが、
おっしゃるように
「言葉だけ・・・」
になっている部分が少なからずあるようですね・・・。

医師全員がそうではないのですが・・・。
Posted by ゲゲゲのしげたんゲゲゲのしげたん at 2009年02月04日 16:54
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