ゲゲゲのしげ爺　ほりほりずむ宣言

以前、私は『易』に興味があり、
それこそ医学よりも易学の勉強に力を入れていた時期があります。

きっかけは、矢山利彦院長が
私とある女性との相性を占うという、
それこそ他愛もないものでしたが、
『易』の思想には一時期かなりハマっていました。

現代では『易占い』として幅広く親しまれていますが、
『易』は今から3,500年ほど前に誕生した皇帝の学問で、
後に『易経』という経典にまとめられています。

儒教の開祖、孔子は
儒教の基本テキスト、経典として、
『五経』の筆頭に挙げるほどでした。

深層心理学の権威、カール・ユングは、
『易』との出会いから、
『シンクロニシティ（共時性）』
（意味のある偶然の一致）
という概念を提唱されています。

『易』は、古代から現代まで、
連綿と伝えられ、実践され続けている、
非常に特殊な学問だと言えます。

易を勉強していく過程で、
私は不思議研究所の森田健氏が、
『六爻占術』という、
非常に特殊な『易』を中国から伝えられたことを知りました。

『六爻』とは・・・

コインを6回振るという意味で、
コインを6回振って行う占いということで、
『六爻占術』という名が付いているようです。

コインを6回振るだけなら
ただの『易占』と同じなのですが、
この『六爻占術』は、
導き出された卦から未来の情報を読み取るだけでなく、
様々な方法によって、
その望ましくない未来や運命を変えてしまうことができるという、
特殊な易占でした。

今から2,000年前、
京房（けいぼう）という人物が、
易に東洋思想の『五行』と『十二支』を組み込み、
『六爻占術』を創始したと伝えられています。
当時の皇帝は、あまりにも当たるこの占いに危険なものを感じ、
京房を抹殺し、
『六爻占術』を禁止してしまいます。

その封印されていた『六爻占術』の古文書を、
中国の考古学者、王虎応（ワンフーイン）氏が発掘し、
現代に甦らせたものを、森田氏が日本に伝えられました。

『六爻占術』は複雑で難解な所もありますが、
私は東洋医学・思想の勉強をしていましたし、
『易学』の基本も一応マスターしていたので、
比較的スムーズに学ぶことができました。

『易占』も『六爻占術』も、
基本に忠実に、正確に、上手に行えば、
実によく当たります。

時に、人間が触れてはいけないような
この世の仕組み、宇宙の秘密、神の意志みたいなものを
垣間見たような気がして、
『ギョッ・・・！！』としたり、
『ゾ～ッ・・・』としたりすることもしばしばありました。

そして、『六爻占術』はその運命までも変えることが出来るといいます・・・。

しかし、易を学ぶ過程で、私は次第に・・・

『占いって、未来のカンニング行為だよな・・・。』

『あらすじが先に分かってしまった映画が面白くないように、
　未来が分かった人生なんて面白くないよな・・・。』

『未来が分からないからこそ、人生が面白いんじゃないか・・・。』

『自分の気にくわない未来を自分勝手に変えてしまうなんて、
　不遜で傲慢でおこがましいよな・・・。』

『このまま易の勉強を続けていたら、
　俺は医師というより陰陽師になってしまうな・・・。』

・・・なんてことを思うようになり、
そのうち易の勉強を辞めてしまいました。

哲人・中村天風師は・・・

『さしあたる事柄のみをただ思え
　過去は及ばず　未来は知られず』

・・・と語られています。

過ぎ去ってどうしようもない過去に引きずられたり、
不明瞭な未来に振り回されたりせずに、
差し当った目の前のこと、
『今』のこと、
『現在』に焦点を当て、
全力を尽くすことの大切さを説いておられます。

未来を知ろうとすること、
好ましくない未来を変えてしまおうすること、
それは所詮、『煩悩』の表れなのかもしれません。

大切なのは、
『今』『現在』を生き切ること、
『今』『現在』に感謝すること、
淡々と、堂々と『道』を実践すること
なのではないかな・・・

と現時点では考えています。