2009年07月21日

仮面ドクター

1994年に公開されたアメリカ映画『マスク』The Mask)。

お人好しで内気で冴えない銀行員の主人公(ジム・キャリー)が、
北欧神話に登場する悪戯好きな神、
『ロキ』のマスク(仮面)を偶然手に入れ、
そのマスクを着用することで緑色の顔の超人『マスク』に変身し、
大騒動を巻き起こすという、スラップスティック・コメディ映画でした。

その劇中で、
仮面研究家精神科のドクターが、確か・・・

『人間は皆、変身願望を持っている・・・。』
『人間は皆、仮面(マスク)を持っている・・・。』
『人間は皆、仮面(マスク)を欲している・・・。』


・・・というようなことを主人公に説明するシーンがありました。

ガンや難病を治癒に導く『実存的変容』の達成には
『自我の確立』が不可欠ですが、
その自我の確立において、
この辺りの概念は非常に重要な意味を持っています。

自我には・・・

1.初期自我
2.中期自我
3.後期自我
4.成熟自我


・・・という4つの段階がありますが、
自我の発達のプロセスの中で、
人間は外部の環境に適応するため、
自らの部分人格を作り上げます。

この部分人格を、心理学では『ペルソナ(仮面)』と呼んでいます。

通常は、1人の人間が複数のペルソナを持っており、
状況に応じて使い分けています。

かくいう私も、いくつものペルソナを持っています。

父親のペルソナ、
夫のペルソナ、
医師としてのペルソナ、
副院長のペルソナ、
ゲゲゲのしげたんのペルソナ・・・etc


これらのペルソナは、
社会生活を円滑にするための、いわば『表の顔』face02です。

私の場合で言えば『仮面ドクター』になりますが、
多かれ少なかれ、
人は皆、『仮面〇〇〇』なのです。

最近、衆院選に出馬することを断念された
東国原宮崎県知事は、
以前、『そのまんま東』という芸名で
お笑い芸人として活躍されていました。

矢山利彦院長は、
『仮面』『マスク』『ペルソナ』のようなものは本来は不要で・・・

『人間は、そのまんまが一番なんだ・・・。
 俺は「そのまんま矢山」だ・・・!!』


・・・なんてことを仰っておられましたが、
まあ、それはそれで一理あるとして、
まずは自我の確立のために
理性で自分自身をコントロールして、
誰にも依存しないで、
きちんと自立し、
健全なる社会人立派に演じることができなければなりません。

この『ペルソナ』を、
意識的に、理性的に、上手に作り出すことができれば・・・
後期自我の段階は充分にクリアできているといえそうです。

しかし、実はここで問題が生じてきます。

『立派な社会人』というペルソナを強く抱えれば抱えるほど、
反動的に、無意識的に、
いわば『裏の顔』とも言うべき影の部分人格『シャドー』が誕生します。

このシャドーに関しては、また日を改めて解説したいと思います・・・。


同じカテゴリー(生き方)の記事画像
しあわせのソフト
覚悟ノススメ
子は預かりもの
41歳の春なのだ。
3つの努力
『種観霊(しゅみれい)』と『シミュレーション』
同じカテゴリー(生き方)の記事
 八正道 (2010-08-07 19:00)
 STOPツール (2010-08-04 19:00)
 噂を信じちゃいけないよ (2010-07-23 19:00)
 マインド・セット (2010-07-19 19:00)
 不両舌(離間悟) (2010-07-18 19:00)
 ゴーギャンと宮沢賢治 (2010-06-08 19:00)

Posted by ゲゲゲのしげ爺 at 19:00│Comments(6)生き方
この記事へのコメント
 おぉ、『マスク』。懐かしいですね。大好きな映画の一つです。
 先生のおっしゃるとおり、人間は、多面性を持っていますね。決して一つの顔ではなくて、その時、その場所で、それぞれの自分がいる。自分の「そのまんま」の部分は持っていながらも、やはりいくつもの『マスク』を使い分けているのでは、と思います。
 以前は、「○○の時の自分が、ホントの自分」などと、考える時期もありましたが、どれも「ホントの自分」なんですよね。いいところも、改めたいところもひっくるめて自分という人間。いろんなマスクを持っていながら、自分の「お気に入り」のマスクがよりしっくりくるように、自分つくりをしていきたいと思います。
Posted by ぜんご at 2009年07月21日 22:59
私も、矢山先生のように「そのまんまビデオ派」が理想です。これまでのように客観的に自分を観ていっていつかは、俺は、「そのまんまビデオ派だ・・・!!」と言いたいな。
Posted by ビデオ派 at 2009年07月22日 01:06
ぜんごさん、こんにちは。

どのマスクを着けた自分も、実は本当の自分です。

どの自分も、否定しないで、
大切にしていきたいものですね・・・。
Posted by ゲゲゲのしげたんゲゲゲのしげたん at 2009年07月22日 15:55
ビデオ派さん、こんにちは。

「仮面〇〇〇」「〇〇〇仮面」の段階の先に、
実は「そのまんま〇〇〇」という段階、ステージがあります。

この辺りの件に関しては、また日を改めて解説しますね・・・。
Posted by ゲゲゲのしげたんゲゲゲのしげたん at 2009年07月22日 15:57
これは、ぜひ続きを期待しています。

自我は精神医療において、最も大きな比重を占めると言っても過言ではないでしょう。

心理学、精神分析的にも、脳科学的にも、そして、「気」のレベルでも、自我については、とても重要な領域なのです。

おっしゃる通り、自我を変える(変えた気になる?)のは、そう難しい話ではありません。
熟達した精神科医や、サイコセラピスト、コーチングのプロにかかれば、ある程度のレベルまでいくでしょう。
ただ、これは、心理学的にも、人のホメオシタシスの観点からも、
「抵抗」が生じます。ここをいかに処理していくのか?
これからのブログに出てくるのでしょうか?

ちなみに、私の学んだ精神分析は自我心理学の流れをくんでいます。
基本的にアンナ・フロイトの流れの流派です。
精神分析の世界では色々な流派があり、それぞれ考え方も違います。
私の場合、群れをなすのが嫌いというのもあり、流派に固執しないので、
どういう考え方も、吟味する主義ですので、しげたんの説く自我を是非
拝聴したく思っております。
ちなみに私の学んだ自我心理学の師匠は、前向きの話に共感を、
後ろ向き(過去や退行)に関しては、取り上げないという主義です。
ここに賛同を覚え、過去8年間、自我心理学の勉強をしました。

ただし、私としては、心理学、分析に固執するのも危険だと考えています。
コメントの日付が前後しますが、分析は術です。
道に照らし合わせて考えるべきであって、なんでもかんでも、
心理学、精神分析と思っている連中には懐疑的です。
もしかしたら、この発言はサイコセラピストのアイデンティティーを
傷つけてしまうかもしれませんが、事実は事実です。

精神科医として、脳科学を尊重する者として、自我心理学を一応卒業したものとして(笑)、
そして、中観論者として、とても興味深いお話です。

武闘派のしげたんへ
Posted by ごんやん at 2009年07月26日 22:10
ごんやん、こんばんは。

いつも深いコメントをありがとう。

次回、「仮面ドクター シャドゥ編」、

お楽しみに・・・!!
Posted by ゲゲゲのしげたんゲゲゲのしげたん at 2009年07月27日 19:28
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。